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高等学校教育先進校視察レポート ―“本気で挑戦する人たちの母校” 札幌新陽高校―

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先日、いま日本中が注目している、私立札幌新陽高等学校を訪問させていただきました。
僕がこの学校を見て感じた、たまらなくワクワクする気持ちを共有させてください。


今の時代、子供を有名大学に行かせたいという気持ちで、難関大学への実績がある高校に入学させ、寮生活をさせる保護者もいらっしゃると思います。 これからの時代は、新陽高校のような特色ある学校へ、寮に入れてでも入学させる保護者が増えてくることを確信しました。

何より、自分の子供を寮に入れてでも、福岡から札幌の高校に行かせたいと本気で思いました。それほどの感動を、今回の視察で覚えました。


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訪問に至った経緯は、日本有数のファシリテーターである、津屋崎ブランチの山口さんからのご紹介です。同校の荒井校長のことをお聞きし、荒井校長のFacebookでの校長日誌やブログ、学校のホームページを見てビビッときました。

新陽高校を起点とした教育大改革が起こる前に、起点となる学校の今を知っておきたいと思い、伺わせていただきました。この時期に行くことができて本当に良かったです。

荒井校長は、あのソフトバンク孫正義社長の社長室のスタッフでした。ソフトバンク時代にはグループ会社の取締役をしながら公益財団法人東日本復興支援財団の専務理事を兼務し、ソフトバンク及び孫正義社長が行う復興支援活動の責任者をされてきました。

東北の高校生300人がカリフォルニアでリーダーシップを学ぶ「TOMODACHIソフトバンクリーダーシッププログラム」を実施したり、経済的に困難のある高校生への給付型奨学金「まなべる基金」を創設し、2000人に給付したり、OECD教育イノベーションネットワーク等の理事や評議員をされたりと、41歳の若さですが、バイタリティ溢れる方です。実際にお会いさせていただきましたが、熱いハートとクールな思考をお持ちで、ルックスも良く、スター性を大いに感じました。


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校内を見学している時、生徒や先生との化学変化がすでに起こっているのを目の当たりにしました。

生徒は明るく元気良く挨拶をしたり、一緒に立ち上げているプロジェクトの打ち合わせをしたり、アグリクラブに所属している生徒が自分たちで作った“北海道名物いももち”を売りに来たり、美術部が今年度から発刊している『spica』という雑誌の編集の相談に来たりと、気軽に校長室に生徒が足を運んでいて、学校全体も活気にあふれていました。卒業生も、「この半年で何が起こったの?」と驚いているそうです。

荒井校長と化学反応を起こしている先生として、ここではサッカー部の顧問の盛田至先生をご紹介します。盛田先生の“本気”も、かなりのレベルでした。

サッカー部では6月に“ボトムアップ”を導入されたらしく、最初に、「なんでサッカーをしているのか」「彼らがどこに行きたいのか」「部活に求めているのか」これらを生徒に考えさせたようです。その結果、「全校応援の中でプレーしたい」という回答に至ったらしく(以前、準決勝で全校応援があったようです)、それが本当の目標であれば「どうすればいいか」をとことん生徒たちに考えさせ、レギュラーメンバーも生徒たちが選んでいるそうです。

“ボトムアップ”を導入しても最初は全然勝てなかったそうですが、ここからが本領発揮。なぜ負けたのか、どうすれば勝てるのか等を生徒たちがとことん考え試行錯誤した結果、チームは7連勝し、2部リーグで優勝したそうです。


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美術部の『spica』の話もご紹介させていただきます。

ある日、美術部の生徒たちから荒井校長に「自分たちの力で部誌を作りたい」と相談がありました。そこで校長は雑誌の作り方、広告協賛の仕組み、協賛の取り方を教えてあげました。

それを受けた美術部の生徒たちは話し合い、地域の飲食店等に自分たちで協賛のお願いに行ったそうです。最初は全く協賛が取れなかったようですが、価格の見直し等を行った結果、最終的には自分たちの力で創刊号を発刊することができました。

↓こちらがその『spica』です。 f:id:yumekatsu:20161031092009j:plain


僕が校長室にいるとき、ちょうど美術部の部員が入ってきたので将来の夢を聞いてみると、「セールスマンになりたい」とのことでした。

これは本当にすごいことだと思います。高校生は「セールスマン」というものに対して、どちらかというとマイナスイメージを持っていると思いますが、この生徒はこの体験から、セールスマンの価値ややりがいを感じ取ったんだと思います。

素晴らしいキャリア教育、素晴らしい生徒の感性だと思いました。

このサッカー部と美術部の成果は、荒井校長の“本気”から派生した効果の代表例ではないかと考えます。


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荒井校長はホームページやFacebookで、また訪問しているときも、“本気”と“覚悟”という言葉を繰り返し使われていました。荒井校長のこの本気と覚悟から、ますます学校が活気づくことを確信しましたが、特に今は以下の点に注目します。

1.自然体のキャリア教育
ここでは「キャリア教育」という言葉が必要ないくらい、それが自然に行われています。美術部の『spica』、サッカー部の“ボトムアップ”が最たる例です。

他にもアグリクラブ、地域に開かれた学校を目指した取り組み(パン教室等)、国や自治体が募集しているプログラムへの積極的な応募や「本気・夢ゼミ」等、様々なプロジェクトが学校中で行われています。

我々が福岡で目指している「キャリア教育という言葉が必要ない」学校に、一番近い学校かもしれません。

2.部活動
僕は常日頃から、「学校の先生方は生徒指導や教科指導に専念した方がいいのではないか」という問題意識を持っています。どういうことかというと、特に部活動の監督はアウトソーシングしてもいいのではないかといいうことです。

賛否両論あるかと思いますが、僕は、学校の先生方のご負担を考えると、この方が教育活動に専念できると考えています。もちろん、部活での指導を生きがいに先生をされていらっしゃる方も多くいらっしゃると思いますので、そのような方には、適正な金額の部活動手当が支払われたうえで顧問をしていただければと考えています。

札幌新陽高校では、このような構想を上回る形で検討しています。ここで詳しく書けないことが残念です。

3. ICT教育
次年度から、新一年生全員にiPadを導入される予定だそうです。そのiPadをどう使うかが大切だと思います。その使い方、効果に注目しています。

4. 進路指導
進路指導を一番の強化ポイントにされるそうです。荒井校長が学校改革では“出口”も重要だと考えていらっしゃるようで、これからどのような進路指導計画を立てられるのか、本当にワクワクしています。

5. 教員養成・研修・組織作り
札幌新陽高校に限らずどの高校でも、最終的にはここが一番のポイントになるのではないかと思います。教員養成、職員研修、組織作りの取り組みも、引き続き注目していきたいと思います。


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2時間の訪問で、僕は新陽高校の魅力をほんの一部分しか見ていませんが、この学校の雰囲気や荒井校長の覚悟を肌で感じ、冒頭でも書きましたが、平成の教育大改革の起点となる学校であることを確信しました。

札幌新陽高校の視察は、これからも継続します。 以上、一度目の視察のレポートでした。

荒井校長、札幌新陽高校の皆様、引き続きご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。


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