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2月25日(木)、明光学園高校で「キャンパスデザイン講座」の講師を務めました。

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2月25日(木)、明光学園高校で「キャンパスデザイン講座」の講師を、弊社キャリア教育推進事業部の担当西田が務めました。

この講座は、進路指導部長である前川先生が6年前から始められたプログラムで、弊社がお手伝いさせていただいて6年目になります。

今回のねらいは高校で2年間受けてきたキャンパスデザイン講座の集大成となるこの時間に、将来についてもう一度考え直してもらうことです。

また今回も大学生が参加し、自分の進路選択について話したり一緒にグループワークをしたりしました。

合計300分の2日間にわたる講座だったので、要素がもりだくさんです。 プログラムの順番通りに活動を紹介していきます。

グループワーク「大学・短大・専門学校・就職のイメージ」

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2月20日に糸島農業高校で行ったことと同じです。

明光学園の生徒からは 「大学は、勉強しながらも長期休暇がありゆっくりしている。 短大は、大学の短いバージョン。 専門学校は、夢に向かって一生懸命がんばる。 就職は、早く大人の道に進む。」 という意見が出ました。

参加学生の進路選択

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参加した大学生に、自分の進路選択について話してもらいました。失敗談も含めてありのままに話してもらうことがポイントです。こうすることで、“今”進路について考えてほしいというメッセージが伝わります。

学生たちはこんな話をしました。

↓西日本短期大学生の話↓
「高校生のときに警察官という目標をもっていたので、法律学の学べる短期大学に入学を決めました。短期大学での経験を通して警察官と言う目標は変わってしまいましたが、“綺麗な世の中にしたい”という信念は変わっていません。夢や目標は見つけるのも難しく、また変わっていくものです。まずは自分の気持ち、軸をしっかりともってほしいです。」

↓久留米大学生の話↓
「三者面談の際にあわてて大学を選択しました。周囲のほとんどの人が四年制大学を選んでいたこともあり、短大・専門学校・就職の選択肢を考えることができませんでした。今は公務員を目指していますが、通っている大学の専門科目とは合致していません。もし高校3年生のときに将来について考えていれば、専門学校へ進むことも考えていたかもしれないという後悔があります。進路について考えることでモチベーションが上がったり、学びたいこと、その先にある夢がうっすらと見えてきたりすると思います。ぜひ進路について悩み自分の将来をイメージして、後悔のない選択をしてほしいです。」

↓福岡工業大学短期大学部生の話↓
「地元の鹿児島から出て視野を広げるために福岡へ進学することを決め、推薦で専門学校に行くことになっていました。しかしオープンキャンパスに行ったところイメージと違っていて、結局、高校の先生に何度も謝り推薦を取り消してもらいました。いま通っている大学は両親の母校です。父母と関わってきた人たちとの繋がりができたこともあって、こちらに来てよかったと思います。私はこんな失敗をしたので、みなさんはオープンキャンパスに行って、自分の目で見て確かめて進路を決めてほしいです。」

この話を聞いて高校生は“最終的には自分で決めなければならない”“色々な進路を調べたり目で見たりしなければならない”ということを感じたようでした。

何を基準に進路を決めるか

何を基準に進路を決めるか、その要素を多く持っているほど選択の幅も広がります。 就職率や校風、立地など基準になるものが多くあることを紹介し、学生は実際に何を基準にして決めたのかを話してもらいました。また、当社のサイト「ユメカツ」などを紹介し進路情報の収集の仕方をお話ししました。

これは当社が実施するプログラムの中でも、特に具体的な進路決定の方法について考えてもらえる内容です。

グループワーク「○○学とは?○○学にまつわる仕事とは?」

これが1日目の最も大きな活動でした。

①西田と参加学生の専門分野(教育学・法学・文学・情報社会学・情報学)の中でどのようなことを学ぶのかについて考える。 ②その学問内容がどのような職業につながるかを考える。 ③A3用紙にまとめ、全体の前で発表する。

このような手順です。 私も学生もグループに入り、一緒に考えていきました。

そしてできあがったものがこちら。 f:id:yumekatsu:20160407173738j:plain f:id:yumekatsu:20160407173745j:plain f:id:yumekatsu:20160407173741j:plain

高校生に「なるほど」と思ってもらえただけでなく、学生にも「自分の学んでいることを再認識できた」という感想をもってもらえたので有意義な活動でした。

夢の見つけ方

今回は夢の見つけ方を3つ紹介しました。

一つ目は“自分探しよりお手本探し”です。

二つ目は“創造力が進路を拓く”です。

そして三つ目は“立志”です。

夢と志の違い

麻生工科大学校で行った活動と同じように、夢と志の違いを考えてもらいました。

明光学園の生徒からはこんな意見が出ました。

「夢は志の最終目標、志は今自分にできることで具体的なやりたいこと。」 「夢は自分がなりたい職業、志は自分がこうありたいという信念。」

私は“夢は手段 志は人生の目的”“夢は自分のため 志は他人のため”と考えてきました。 今回は、その考えを“夢=For me 志=For you”という言葉で紹介しました。

この表現は高校生にとってわかりやすかったようで、生徒みんなが一生懸命メモをとっていました。

志の3つの構成要素

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“志”には3つの構成要素があります。それは“will(したいこと)”“can(できること)”“must(しなければならないこと)”です。

今の夢追い型、天職探しの進路指導ではwill(したいこと)に偏っていることが多いように感じます。私は、日本人の国民性には“自分のためにある夢(will)”よりも“誰かのためにある志(must)”の方が見つけやすいと考えています。

これらの要素の中には、さらに2つの心理的要因が含まれます。 will(したいこと)→将来期待と積極的行動意欲 can(できること)→自己肯定と自己判断 must(しなければならないこと)→他者支援と時事理解

これはどういうことか、「must」を例に説明します。 自分がやらなければならないこと(must)は、他の人のためという気持ち(他者支援)と社会問題への関心(時事理解)から生まれる、という考えです。

志に含まれるこれらの心理的要因を測るツールが、当社の志測定検査です。

志測定検査

この検査では28の質問に答えてもらいます。その結果、「将来期待」「積極的行動意欲」「自己肯定」「自己判断」「他者支援」「時事理解」のそれぞれに20点満点で点数がつきます。数値が高いほどその性質が強いということです。

生徒たちにこの検査を行い、数値の高かった項目を書き出してもらいました。 他者支援・将来期待・自己判断を挙げている生徒が多かったです。

そして2日目の講座までの宿題として“親や祖父母に言われてきたこと、心に残っている格言を書き出す”という課題を出しました。

これは、志測定検査でその項目の数値が高かった理由を、親や祖父母に言われてきたことや心に残っている格言から探ろうという意図です。

例えば「自分のことは自分で決めなさい」と言われて育ってきたら、自己判断、意志の力が身につくと考えられますよね。志測定検査の結果のもととなるみんなの考えが、親や祖父母に言われたことや心に残っている格言、これまでの経験そのものであるということを伝えました。

自分をつくってきた言葉

ここからは2日目のプログラムをご紹介します。

前回の宿題にしていた“親や祖父母に言われてきたこと”“心に残っている格言”をグループ内で共有しました。

これらは自分たちの価値観、考え、志のもととなるもので、それを文字と言葉にすることは大きな意味があると思います。

生徒が書いていた言葉がどれもおもしろいと思ったので、みなさんにも全てご紹介します。

親や祖父母に言われてきたこと

・つねに自分の側に鏡があると思いなさい(意識すること)。 ・テーブルにひじをついて食べたらだめ。 ・悪いことをしたら、自分から謝る。謝ったらいつまでもそれをひきずらない。 ・「ありがとう」を言う。 ・やるべきことをやってから、やりたいことをやる。 ・わがままをなおしなさい。 ・ゆっくりしすぎ。終わってから余裕を持ちなさい。 ・自由にしていいよ。 ・やるときにやる!というメリハリをつける。 ・自分がされて嫌なことは人にもしない。 ・人を信じるな。 ・感謝の気持ちを忘れない。 ・笑顔を大切に! ・自分が人にした良いことも悪いことも必ずまた自分に返ってくる。 ・人が話している時に話してくるな。 ・人は人。 ・テレビを見ながらご飯を食べるな。 ・自分のことは自分でする。 ・言われて嫌なことは言うな。 ・他の人に迷惑をかけない。 ・人のふり見て我がふり直せ。人の嫌なところを見たら自分はそれをしないように。 ・自分の進みたい道にすすめるように頑張って。 ・安定した職業に就きなさい。 ・自分の生きたいように生きなさい。 ・自分の好きなことをしなさい。 ・お金は親が出しているのだから言われたことは絶対にきかなくてはいけない。 ・当たり前のことくらいしなさい。 ・早く寝なさい。 ・常に自分を磨き続ける。 ・自分で決めたなら最後までやってみなさい。 ・自分でできることは自分でやる。 ・助けを求め、求められた時は応じてあげる。 ・相手の気持ちを考えて行動しなさい。 ・「ありがとう」と「ごめんなさい」はきちんと言える人になりなさい。 ・人に優しくする。 ・自分には何ができるのか考えろ。 ・礼義良くしなさい。 ・なんでも親に伝える。

心に残っている格言

・100%の不幸は存在しない。 ・へらへら笑うな、全力で笑え。 ・継続は力なり。 ・失敗ばかりしてもへこたれんな。 ・人生楽しんだもん勝ち。 ・情けは人のためならず。 ・陰口を言うのは暇な証拠である。 ・悪口を言うのは、その人より自分は弱くその人がうらやましいからである。 ・恥ずかしいと感じることから進歩は始まる。 ・油断は禁物。 ・楽はいつだってできるが、楽ばかりしていたら自分のやりたいことはできない。 ・人間関係で大事なのは、心から「笑う・怒る・謝る」こと。 ・小さな努力の積み重ねが大きな幸せを運んでくる。 ・今が辛くても頑張ったことは必ず後で生きてくる。 ・どんなことがあっても笑っていると、嬉しいことは2倍に、悲しいことは半分に。 ・世の中に幸も不幸もない。ただ考え方でどうにもなるものだ。 ・辛い時こそ笑う。 ・自分が自分をイケてるって思わないと、誰も思ってくれないでしょ。 ・考えろ!考えるな! ・口先ばかりの優しい言葉は何の役にも立たない。 ・自分の人生は自分が主役じゃないといけない。 ・自分が笑っている時はプラスの連鎖、悲しい時はマイナスの連鎖。だから笑っていよう。 ・あなたが壁を乗り越えた時、その壁はあなたを守る砦となる。 ・あー楽しかった、って死ぬのが夢なんだ。 ・人間死ぬ気になれば何だってできる。 ・あきらめなければ何とでもなる。 ・自分次第で未来はどうにでも変えられる。 ・明日死ぬかの様に生きなさい。永遠に生きるかのように学びなさい。 ・心が変われば行動が変わり、行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば運命が変わる。 ・人にしてもらいたいと思うことは、人にしてあげなさい。 ・埋もれているもっといい自分を掘り起こそう。 ・夢を見ることができるなら、それを叶えることができるのだ。 ・鏡に向かって、できるよ修造! ・一番いけないのは、自分なんかだめだと思い込むことだよ。 ・生きるというのは人に何かをもらうこと。生きていくというのはそれを返していくこと。 ・大切なのは問うことをやめないことだ。 ・小さな努力の積み重ねが大きな幸せを運んでくる。 ・笑顔でいることが良い環境を生む。 ・中指だけじゃなくて、人差し指も立ててみろ。ほら、それだけで世界は平和だろ。

働くことについて

働くことについて、こんな角度からも話をしました。

まず、ある動画を見てもらいました。

あらすじはこうです。 何をしても長続きしない女性が仕事を転々としていたあるとき、スーパーのレジ打ちの仕事がきました。今までのように辞めたい衝動が襲い、実家へ帰るために荷物をまとめはじめました。そのとき、子どもの頃の日記に「ピアニストになりたい」と書いてあるのを見つけたのです。ピアノは唯一長続きしたもの。彼女はもう逃げるのはやめようと思いました。

ピアノを弾く感覚を思い出しながらレジの特訓をはじめてから、お客さんの顔を見る余裕ができました。するとお客さんに話しかけることができるようになり、「彼女と話すため」と彼女のレジには長い列ができるまでになりました。

私はこのストーリーをもとに、3つのことを伝えました。

1つ目は、どんな仕事にも必ずやりがいがある、人がいやがる仕事にも他人や社会に役立つことはあるということ。2つ目は、何事もその人の価値観、志次第だということです。“出来ない”のではなく“やらなかった”だけ 、ということはよくあります。欲が出れば、今まで出来なかったことにチャレンジするはずです。

そして3つ目は、どうしたら天職に出会えるか?ということです。実は“自分を勇気づけてくれるような経験(彼女にとってはピアノ)”が とっても大事なのです。

また、自分の仕事を天職だと思って働いている人の多くは高い志をもっていることが多いというお話をして、“志”に関するプログラムに移りました。

ちなみに、2月20日糸島農業高校の記事で紹介した3つの働き方(生活のため・キャリアアップのため・天職)の話をしたところ、他の学校よりも「天職として働きたい」と思っている生徒が多かったです。志の高い生徒が多いということでしょうか。

この講座も終わりに近づいてきました。 最後を飾るのは「志スピーチ」です。

生徒一人一人が自分の志をみんなの前でスピーチする、という活動です。

今回はその前に2つのプログラムを導入しました。

1つ目は、“過去の偉人たちにとっての志”です。

坂本龍馬、吉田松陰、孔子、この3人にとっての志とは何かを伝えました。 例えば、坂本龍馬にとっての志は「自分こそが成し遂げなければならない使命」「なくてはならないもの」等と、彼の手記の中から読み取れます。 吉田松陰先生は、志について「何もまどわされないもの」「自分の信じるもの」「絶対に成し遂げるもの」と考えられています。

ちなみに私の考えは、「世のため人のために尽くしたいという、留めることの出来ない衝動性・意志」であると伝えました。

2つ目のプログラムは、特別講師による講義です。同じく、その特別講師が考える“志”についてお話いただきました。

その特別講師とは、この学校の進路指導部長である前川先生です。先生は史学のスペシャリストです。私なんかでは足下にも及びません。いつも、ご指導いただいています。

少し話がそれますが、このような講座の中で高校の先生にお話しいただけるというのは、とても大きな意味があると思っています。私は、真の高大接続・産学連携とは、両者のコラボレーションによって産まれる相乗効果で、片方だけでは提供出来ない価値を生徒に提供することだと考えています。私たちが講座のお手伝いをさせていただいている中で先生にもお話していただくことは、まさにそのような特別な価値を生んでいると思います。

前川先生には、“倫理”と“志”についてお話しいただきました。

前川先生によると、志とは人の気持ちや意思の表れであるそうです。その気持ちを伝えようとするのは人間だけで、相手があってはじめて成り立つ行為でもあります。 人間とは古来哲学的に「考える」ことを通して成長してきましたが、生き方を考えること、他者を思うことは、人間だけに許された力なのだとおっしゃっていました。

志スピーチ

さあいよいよ締めくくりです。 前川先生のお話や坂本龍馬、吉田松陰を参考にして、自分の“志”について考え、スピーチをしてもらいました。

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「テーマパークのダンサーになりたいです。笑顔がステキで印象に残る人になって、みんなに興味を持ってもらうことが目標です。」 「作業療法士になって、子どもたちが前を向いて胸を張って生きられるようにサポートしたい。他の子たちとの隔たりを感じないようにしてあげたい。」 「職業はまだ言えないけど、自分の今好きな仕事をして生きていきたいです。そのため進路はまだ悩み中だけど、私がずっと憧れている、幅広い人にかかわっていろんな経験をして、いろんなところへ行って、自分の価値観を持っている人がいるので、その人みたいになれたらいいなと思います。」 「私は、今は趣味を仕事にしたいと思っています。そう思った理由は、実際にそれが必要な場面にあったからです。その時私は自分の趣味が仕事として使えると思いました。これからも今以上に努力して、もっと隣の国のことを理解して、国同士の仲を深める仕事をできたらいいなと思っています。卒業後は本格的に学び、夢を実現したいです。」 「一応、医療系を考えています。そこでは人の役に立って何か貢献できたらと思います。でも医療系に進みたいと思っているのはとりあえず「資格」「安定」のためです。本当になりたいものを見つけたい。目標を見つけて楽しめる生き方を探したいです。」 「夢は保育士。子どもの笑顔をたくさんつくれるようになりたいです。子どもが楽しく過ごせるように、自分も楽しめるようになりたいです。」 「自分は人のためにしか努力できないので、人のために一番役に立つ仕事をしたいです。」 「どんな人でも笑顔にするようなお菓子を作る人になりたい。」

担任の先生の感想

このプログラムに参加する度、感動し、胸を打たれるのが「志スピーチ」です。普段は将来について悩み、もがいている生徒たちも、クラスメイトや大学生の前で自分の思いを伝えることで、「覚悟」を決めた顔つきになります。その覚悟が「○○という夢を叶える!」という明確なものであっても、「私はまだ悩んでいます!」というものであっても、彼女たちが大きな一歩踏み出したように感じました。ユメカツに参加し、高校卒業後の自分を想像し、そのために今何をすべきか考える機会を3年生を迎える前に頂けたこと、とても感謝しています。ありがとうございました。

明光学園の生徒は進路に対して“まだ決まっていない”“夢が2つあってどっちにするか迷う”“自分の好きなことと将来性、どちらで大学を考えるのか”という悩みをもっていました、それをスッキリさせるプログラムになったのではないでしょうか。