香椎高校特進クラス、志合宿 in 萩 ~1日目~
ゴールデンウィークに、弊社の初めての取り組みである合宿を行ないました。 対象は香椎高校1年生の特進クラスです。 5月5日から6日にかけての一泊二日で、山口県の萩に行ってきました!
この合宿が生まれた経緯
香椎高校の田中校長先生は「多くの部活では、1年生をゴールデンウィーク中に合宿や遠征に連れて行き鍛える。これがその後の部活動のモチベーションになっていく。これと同じ理由で、香椎高校特進クラスも合宿に行かせて鍛えたい。」と考えていました。
特進クラスを鍛える目的は、“特進クラスとしての自覚を生むこと”“香椎高校のリーダーを育成すること”です。
このお話を受け、萩に行って志について考える合宿しかないだろうと思いました。自覚を持ち、目標に向かうために必要なものが“志”だからです。
「頑張ろう」というその気持ちを継続させるものは、自分の内側から生まれる志以外にありません。人から「こうしろ」「こうなれ」と言われてもおもしろくないし、そこに向かう気持ちは長く続きません。“自分で”選んだ気持ちのある人こそ伸びていくことができます。
また、幕末にわずか数十年で日本を近代国家へと向かわせたのは、当時の日本人の志です。まさにこの時代、志を持って生きた人物の一人が吉田松陰先生であり、その志に触れることのできる場所が萩なのです。
田中校長先生のお考えを受け萩での合宿を提案したところ、校長先生から「よし、のった」というお返事をいただき、実施することとなりました。
達成目標
この合宿中に達成したい目標は、生徒一人一人が
- 志の意味を自分で定義すること。
- 香椎高校の役割・志を言語化すること。
- 現時点での自分の志を言語化すること。
- クラスの志を言語化すること。
私たちは、高校生に自分の考えを言葉にしてもらうことにこだわっています。
2日間のプログラム
<1日目:5月5日>
9:00 事前研修「あなたにとっての志とは?」
12:30 道の駅 萩往還で昼食
13:30 松陰神社(吉田松陰歴史館・至誠館)にてフィールドワーク~松下村塾は何故優秀な人材を輩出できたのかを探る~
15:30 萩セミナーハウスにて研修(グループワーク・発表)~松下村塾は何故優秀な人材を輩出できたのか~
18:00 入浴・夕食
20:00 講話「吉田松陰先生の志」
<2日目:5月6日>
8:00 萩城下町でフィールドワーク~萩・日本における藩校明倫館の役割を探る~
10:00 グループワーク・発表
11:00 講話「萩・日本における藩校明倫館の役割とは」
12:00 昼食
13:00 グループワーク・発表「香椎高校に継承される志・役割とは」
14:00 スピーチ「あなたの志は?」
15:00 グループワーク・発表「1年1組の志は?」
16:00 吉田松陰誕生地 見学
合宿1日目
あなたにとっての志とは?
萩へ向かう前に、学校で事前研修をしました。志について考えてもらう準備をすること、自分で志の定義をすることが目的です。
はじめに、志測定検査を受けてもらいました。
この検査は、志が立つ要因となる心の状態を測定するものです。
「将来期待」「積極的行動意欲」「自己肯定」「自己判断」「他者支援」「時事理解」というのが、その具体的な心の状態です。28の質問に答えた結果、この6つの項目それぞれに20点満点で点数がつきます。数値が高いほどその性質が強いということです。
次に親や祖父母に言われてきたこと、心に残っている格言や友達の言葉を書き出してもらいました。志測定検査でその項目の数値が高かった理由を、親に言われてきたことや心に残っている格言から探ろうという意図です。
そして最後に「夢」と「志」の違いについて考え、自分なりに「志」の定義づけをしてもらいました。「志」の定義づけをするときには、参考に偉人たちの志を紹介しました。
辞書には「心の行き向かうところ」をいう意味が書いてありますが、時代を超えて「志」という言葉に魂、力が宿ったということを伝えました。また先ほど紹介した達成目標を伝え、高校を出発しました。
松下村塾
松下村塾はなぜ優秀な人材を輩出できたのかを解き明かすため、道の駅萩往還にある松陰記念館、松陰神社、宝物殿「至誠館」、吉田松陰歴史館で情報収集をしました。
その後、研修・宿泊場所である萩セミナーハウスに向かいました。
ここからはグループワークで得た情報をグループごとにまとめて発表する時間です。はじめは個人でできるだけ多く意見を出してもらい、次に班ごとに似たような意見をまとめて分類してもらいました。生徒がまとめた模造紙です。
吉田松陰先生が塾生ひとりひとりの個性を見抜き尊重したこと、たくさんの書物を読破したこと、ただ机に向かって勉強するだけではなくいろいろなところを旅したこと、自分のことより日本のことを考えていたこと。塾の中では身分関係なく、困っているときは互いに助け合う人間関係があったこと。松下村塾から素晴らしい人材が生まれた理由として、このようなことが挙げられました。
松陰先生の志
1日目の最後には“萩ふるさと大使”井関隆行氏に、松陰先生の志とフィールドワークのテーマ「松下村塾はなぜ優秀な人材を輩出できたのか」について、講話とワークショップをしてもらいました。
初めに萩の紹介です。
「吉田松陰歴史館の前あたりにある石碑には『明治維新胎動之地』と書かれています。明治維新はものすごい勢いで国が変わった出来事です。そして萩は松陰先生が育てた松下村塾の生徒たちが江戸幕府を終わらせて国をひっくり返した、明治維新が始まった街です。」
次に松陰先生の一生についてお話があり、このような問いかけがされました。
「松陰先生は脱藩して東北に遊学したこと、アメリカに密航しようとしたこと、幕府に憤慨し老中暗殺計画を立てたことの計3回も謹慎・投獄になりました。それなのに松陰先生は一体何に突き動かされて、なぜ松下村塾をつくったのでしょうか?」
ここからワークが始まりました。
これは、「社会課題があって、自分がある。自分は、根っこ、個性・信念、知識・スキル、置かれた状況というふうに分解できる。この2つがあいまって、志が生まれる」という構造を図にしたものです。
図のような枠組みを使って、先ほど意見を書いたふせんを貼りなおし書き加え、松陰先生がなぜ松下村塾をつくったのかをまとめました。
そして最後に、松陰先生が教えてくれる4つのことについてのお話がありました。
1. 使命
失敗すれば斬首、愛する家族も晒し者、毛利の殿様にも大迷惑、英語は話せない、とリスクがたくさんあったけれど、それでもアメリカへ密航しようと舟を沖に押し出したその瞬間の松陰先生は、「この命を使ってでも」という強い使命感を持っていたでしょう。
2. ここでやれることをやる
松陰先生は獄中でも読書をし、囚人を教育しました。獄中なら獄中でできることをしたのです。
3. 志を立て続ける
松陰先生は何度も何度も失敗しましたが、「国を護る」という志を立て続けました。何人も命を落としましたが、最終的に松陰先生が育てた人が時代を変えることに成功したのです。
4. 至誠
「至誠にして動かざるもの未だこれ非ざるなり」という松陰先生の言葉があります。「至誠」というのは、全力を尽くす= 自分を欺かないということ。本当に限界までやり抜いたかは自分が一番わかっています。一人の時も自分をごまかさず「やりきった・考え尽くした」と思うことができれば心が落ち着きます。そのまっすぐで晴れ晴れとした気持ちは言葉や表情、オーラにもにじみ出ます。
1日目の最後に、自分たちでは調べきれなかった情報や考えを得ることができ、生徒のみなさんは興味をもって聞いていました。
ここまでが1日目のプログラムです。生徒から出た意見や2日目の内容は、また後日ご紹介します!