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7月21日(木)北九州市立高校で講演をしました。

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対象は普通科の2年生です。

夏課外の初日に学習意欲を上げるような講演を、ということで依頼を受けました。

はじめに

この講演での僕(弊社キャリア教育推進事業部長 西田)の目標は、生徒たちに「何のために学ぶのか」を自分の言葉で語れるようになってもらうことです。

これを生徒のみなさんに伝えた後、今から時間を共有するにあたって3点注意をしました。

1点目は、この時間だけはポジティブになってみようということです。
「だるい」「めんどくさい」と普段からよく言ってしまう人も、この時間だけはそんな言葉は心の奥底にしまってポジティブになってもらいました。

2点目は、友達や人が話しているときは相手の目を見ようということ。
僕は自分だけが一方的に話すのが苦手なので、よく生徒にあてて発言してもらいます。特にそんなときに私語をしている人や話を聴いていない人がいると、かなりがっかりします。

そして3点目は、メモをとろうということです。
最初に「ポジティブになろう」と言いましたが、前向きな姿勢でいれば、学校の先生や友達の話の中から参考になる部分を必ず発見できます。それを素直に書き留めてほしいと伝えました。

「メモをとる」ことについてはこちらの記事福岡農業高校で講演をしました。 - FORESIGHT.COMでもご紹介しています。

”やる気”について考えてみよう

最初のお話は”やる気”についてです。

どういうときにやる気が出るか、ワークシートに記入をしてもらいました。

見てみると、「好きなことや興味のあることをするとき」という答えが多かったです。

他にはこんなことが書かれていました。
・良い結果を想像したとき
・相手に負けたとき
・大学のパンフレットを見ているとき
・課題の締め切りが迫っているとき
・終わった後に楽しみが待っているとき

これは部活のことかな、受験や宿題のことだろうな、と想像ができて面白いなあと思いました。

また発表してもらった中には「自分で目標ができたとき」という意見もありました。これはこの後につながる貴重な意見です。

やる気の種類

やる気について考えてもらった後、やる気には2つの種類があるのだということを話しました。

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1つはテンションです。
これは音楽を聴いたり趣味に打ち込んだりしているときに、瞬間的に湧くものです。瞬間的なやる気です。

もう1つはモチベーションです。
図を見ていただくとわかりやすいですが、このモチベーションを起こす要因には外的なものと内的なものがあります。

外的要因の代表例は、ご褒美です。
これができたらお小遣いがもらえる、何かを買ってもらえる。これもまたやる気としては一時的なものです。

ただ例外もあって、感動体験(例えば部活で優勝した経験など)というのは外的要因でも長く続きやすいモチベーションとなります。

そして内的要因というのは自分の内側から湧いてくるものです。
先ほど生徒の「自分で目標ができたときにやる気が出る」という意見を紹介しましたが、これがまさにずっと続いていくやる気の源、モチベーションの内的要因です。

例えばなぜ働くのか、なぜ学ぶのかという問いかけ、それに対する自分の気持ちこそが永続的なやる気を生みます。また夢や志がこれにあたります。

みんなのこれからには内発的モチベーションが鍵になるのです。

なぜ学ぶのか

ここで内発的モチベーションにつながる「私たちが学ぶ理由」について考えてもらいました。

「高校で学ぶ理由」は、進学や就職のためという意見が圧倒的に多かったです。

他にはこのような意見がありました。
・これからの将来、自分のしたいことをするための選択肢を増やすため
・基礎知識をつけるため
・社会に出て生きていけるように、社会で役に立てるように
・自分に合った進路を決めるため
・人生の目標を見つけるため
・世の中を知り、自分が社会のために何をするかを見つけるため

次に答えてもらったのは、高校に限らず「そもそも何のために学ぶのか」という問いです。

これに対しての答えは
・人生を豊かにするため
・自分の目標にできる限り近づける力を持つため
・自分の思考を確立するため
・社会に貢献するため
・幅広いものの見方や考え方を知るため
・生きていくため
・人生を楽しく過ごすため
・自分のため
・学ぶことには終わりがないから
・世の中を変えるため

今の僕が考える学ぶ理由は、よりよく生きるためです。

人それぞれ”よりよく生きる”ことの意味は違うと思いますが、そのためには志を立てることが必要だと考えています。

信念を持って知識・技術を身につけて、それらを活かす思考力・判断力・表現力を身につける。一方で自分の置かれた環境を知る。

この2つの軸をもって自分の志について考えてほしいと思っています。

これからの社会

自分の置かれた環境を知るために、これからの社会がどうなっていくのかについてお話をしました。

まずは動画を見てもらいます。

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このような内容が伝えられる動画です。

僕はいつもこの動画から読み取れる内容として、3つのことを伝えています。

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1つ目は、キャリアデザインがますます重要になってくるということです。
動画の中で、米国労働省は今の学生は38歳までに10〜14の仕事につくと推測されていると言われていました。日本でも、2012年の総務省「就業基本調査」によると、新規学卒者の非正規採用の割合は男性で35%、女性で53%だそうです。

このような状況の中では、自分で自分の将来をつくっていく姿勢が必要でしょう。

2つ目は、グローバル化が進んでいくということです。
2014年、日本経済団体連合会の調査によると、外国人留学生を採用している企業63.7%にもなるそうです。仕事に就くとき、日本人だけではなく外国の人とも競争をすることになります。

3つ目は、人工知能が急速に進化しているということです。
人間だけではなくさらにロボットとも競争をすることになると言えます。

今の高校生はまさにこんな時代に生きています。 彼らが親になったとき、自分の子どもが生きる時代ではもっと変化のスピードが速いはずです。

どんな力が必要か

ではそんな社会を生き抜くためにどんな力が必要になるか。

生徒からはこんな意見が出ました。
・コンピューターを使える力
・コミュニケーション能力
・行動力、発言力
・何でも学ぼうとする姿勢
・時代の変化に適応できる力
・外国語の力
・自分の考えをしっかり持つこと
・人とは違う、社会に役立つ特技
・冷静に判断する力

京都大学の溝上慎一先生は、これから必要になってくる力をいくつか挙げ、コミュニケーション能力とキャリア意識のある高校生が社会に出てから成長するとおっしゃっています。

また僕は夏課外初日の生徒たちに向けて、この中の「学び方の学習」に触れてお話をしました。これはつまり「自分で答えを探す力」だと思っています。

情報のあふれている今、いかに自分の欲しい答えにたどり着くか、判断するかが重要です。

まとめ

僕は19歳のころから、高校生の進路選択について本気で考えてきました。

そしてわかったことが一つだけあります。

それは、高校生が自分の力だけでユメや志を言葉にすることの難しさです。

ユメや志を言葉にするには、自分探しよりお手本探しが必要です。お手本となる考えをたくさん見つけて、それをもとに自分のオリジナルの考えを言葉にしていくのです。

この日、生徒に「ポジティブになること」「メモをとること」に注意してもらいましたが、それは結局ここにつながっています。

ポジティブに生きていたら、自然とアンテナが立ちます。いろんな情報をキャッチできるようになります。

それをメモにとって蓄積していき、自分自身の価値観を探すのです。

学習観

これから自分は何のために何を学んでいくのかという、自分の学習観をワークシートに記入してもらって講演を終えました。

これは他の学校でも何度も書いてもらっているのですが、いつも書くのが難しそうだという印象を受けていました。生徒が書いたものを見ても、職業観や志と比べてもう一歩足りないなという感覚でした。

そんな課題意識を持った中、これと同じ日に北九州市立大学を訪問しました。

そこで三宅先生とお話をしたときに、ルーブリックをつくれば生徒はもっと学習観について書けるようになるのではないかと思いました。

次回の講演は、8月31日の朝倉光陽高校です。そこでルーブリックを試してみます。

講演後記

講演後、校長先生や進路の先生とお話をしました。

ある進路の先生は、自分がずっと思っていたことをそのまま言ってもらったようだと喜んでくださいました。

初めて講演をする学校ということで少し不安がありましたが、生徒の反応、雰囲気がとてもよく、話し始めてすぐに「これは大丈夫だ」と思いました。普段の学校生活での積み重ねがあっての、この生徒たちの様子なんだろうなと感じました。

生徒の発表は、発言した人が次の人を指名していくリレー形式で行いました。 f:id:yumekatsu:20160729161430j:plain
みなさんの協力もあって、このように活気のある時間となりました。

生徒の感想

・普段考えないようなことを考えることができて楽しかった。
・今の時代をどう生きるべきか改めて考えることができ、とてもよかった。
・これから少しでもポジティブになりたい。
・人生の選択は学ばないとできないから、学ぶのは選択をするためだと思った。私が今日の朝ごはんに卵焼きを食べるのを選んだのは、それがおいしいと学んでいるからだということを考えた。
・自分の知らないことをたくさん教えてもらえた。
・これから自分が何をしたいか改めて考えたい。

この日の講演が少しでもみなさんのモチベーションにつながっていることを願います。