高校生の理想的な進路選択のためのキャリア教育とは Part2
キャリア教育には、上の図のような複数の要素と段階があると考えています。
そのためキャリア教育は高校生の理想的な進路選択のためにもあると言えます。
この記事では、弊社のキャリア教育の取り組みを整理したいと思います。
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進路選択の前にはまず、自分の考えを明確にする必要があります。
私たちは具体的に、
・学習観(何をどう学ぶか。なぜ、何のために学ぶか。)
・職業観(どう働きたいか。なぜ、何のために働くか。働く上で大事にしたいことは何か。)
・志(どう生きるか。何のために生きるか。生きる上で大事にすることは何か。)
これらを言語化することで進路選択の意欲が増し、軸が定まり、ミスマッチを減らすことができると考えています。
その次にあるのが職業教育です。
中でも欠かせないのは、生徒が社会人基礎意識や社会人基礎力をつけること、たくさんの業界があると知ることです。
この段階を踏んで初めて、生徒は進路選択の最初のステージに立つことができるのではないでしょうか。
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図を見てわかる通り、さらにこれらの土台にあるのがキャリア発達の段階だと考えています。 ただこれはまだ研究途中で、私たちの中ではっきりと解明できていません。
↓今はこのように考えを進めていっているところです。
キャリア発達とは、結局なんだ?~そもそも「発達」とは何か~ - FORESIGHT.COM
キャリア発達とは、結局なんだ?~基礎的・汎用的能力から考える~ - FORESIGHT.COM
弊社の考える進路指導の方法
弊社が考える進路指導の要素は以下の7点です。
進路意欲向上のための指導
学問の種類を知るための指導
進路選択の基準、進路選択の方法を伝える教育
学力向上のための支援ツール
難関大学合格のための勉強法講座(受験対策)
希望進路実現のためのAO入試や小論文対策講座、面接対策講座
キャリア・カウンセリング(三者面談は絶好のキャリア教育の機会だと考えます)
進路指導プログラムを通して自分の学習観や職業観や志を言語化することで、学問や職業(自分の進む道)を見つける作業がスムーズになります。
ではここから、弊社が高校で実施しているプログラムを紹介していきます。
進路意欲向上のための指導
キャリア教育の段階の中の「生き方・在り方教育」「職業教育」が、進路意欲向上のための指導にあたると考えています。
私たちは具体的に「仕事人キャリアガイダンス」「これからの社会について考える時間」「選択式キャリア発達セミナー」というプログラムを提供させていただいています。
仕事人キャリアガイダンス
ある業界で現役で働いている、もしくは実務経験のある方を講師にお迎えし、生徒へ向けて各業界・各職業の仕事内容、意義と使命を伝えていただきます。生徒はいくつかの講座の中から自分の受けたいものを選び、受講します。
情熱をもって働いている人の考える仕事の意義・使命は、高校生が自分の職業観を言語化するための、とてもいいお手本となります。生徒にはぜひこのような仕事人をロールモデルとしてほしいと思っています。
こちらの記事では、仕事人キャリアガイダンスで講師の方が実際に話されたことをいくつかご紹介しています。
これからの社会について考える時間
これからの社会はますます急激に変化していき、これまでとは全く違う、予測不可能な世界になるときが来ると言われています。
高校生には、そんな社会を生き抜くためにどのような力が必要かを考えてほしい。そうすれば、その力をつけるために今高校でどんなふうに学んでいけばいいのか、どんなふうに過ごすべきなのかに気づけるのではないかと思っています。
こちらは、「これからの社会がどうなっていくのか」というのを二人の企業経営者をパネラーに、パネルディスカッションの形式で生徒に伝えた例です。
生徒は、変化する社会の先頭をきって活躍している経営者の考える「これからの社会」や、必要になる力、働くうえでのこだわり、志についてのお話を聞くことができました。
選択式キャリア発達セミナー
社会に出る前、高校生のうちに伸ばすべき資質や能力テーマにした講座です。仕事人キャリアガイダンスと同じく、自分の受けたい講座を選んで受講する形式です。
開設する講座は、各高校の先生方とお話をして、生徒の実態に合わせたものにしています。例えば、進路に悩んでいる生徒向けに3講座、進路が定まっている生徒向けに3講座というような設定をすることもあります。
昨年度の3月にある高校で実施したときには、このような講座を立てました。
・メンタルトレーニングの重要性
・プレゼンテーション力
・想像力・発想力を磨こう
・グローカルに生きる
・食生活の大切さを知ろう
・モチベーションアップ講座
・進路選択力向上講座
こちらの記事では、「プレゼンテーション力」「グローカルに生きる」の内容を少し紹介しています。
学問の種類を知るための指導
大学、短大、専門学校で学べる分野や職業の数は膨大です。
その中から、少しでも多くを知ってから進路選択ができるよう、「業界・学問研究ガイダンス」を実施しています。
業界・学問研究ガイダンス
ある業界・学問がテーマになった講座の中から興味のあるものを選び、教室ごとに分かれて受講する形式のガイダンスです。
この講座では、各業界・学問の内容やそれに関わる進路など、具体的な情報を伝えます。
ねらいは、それぞれの業界・学問の“今”と“これから”を知ることで自分自身の夢や志を深化してもらうことです。
こちらもある学校で実施した例を紹介します。
第一部では文学、経済・経営・商学、工学、幼児教育、芸術・デザイン、スポーツ、看護、被服・ファッション、放送・音楽、医療事務、美容、動物、調理。第二部では法学、栄養学、観光、初等教育、情報処理、リハビリ、声優、ホテル・ブライダル、メイク・ネイル、事務、製菓、公務員、福祉の講座を立てました。
生徒の感想を見てみると、オープンキャンパスへの動機づけや、大学と専門学校の違いを知る機会になっているようでした。また、同じ興味のある分野を受講した生徒でも、その気持ちをますます深めた生徒もいれば立ち止まって考え直すきっかけとした生徒もいました。そして興味のなかった分野を受講したとしても、「知らないことを知ることができて面白かった」という感想がありました。
進路選択の基準、進路選択の方法を伝える教育
「進路選択」に焦点を絞った講演は、高校生にとって身近な先輩である大学生に参加してもらい、実施することが多くあります。
この形式の講演には「ユメカツガイダンス」という名前をつけています。「ユメカツ」という言葉は、ユメを見つけるための活動、ユメを叶えるための活動、そしてユメを深化させる、つまり志に変えるための活動、という意味です。
ユメカツガイダンス
高校生と年齢の近い身近な先輩の体験談を聞きながら、進路選択について考えてもらう講演会です。
多くは弊社とつながりのある大学生が参加していますが、実施する高校の卒業生である専門学生や社会人が参加した例もあります。
こちらがユメカツガイダンスの様子です。
学生には、どうやって進路選択をしたかだけでなく、後悔や失敗もありのままに語ってもらいます。そうすることで高校生が「今のうちから考えないといけない」と感じてくれるのではないかと思います。
学力向上のための支援ツール
「周りを巻き込んで勉強ができる、核となる生徒を育てたい」という先生のご要望から生まれたのが、「ユメカツ放課後寺子屋」です。
これもキャリア教育、進路指導を支えるツールになると考えています。今までたくさんの高校生と関わってきましたが、勉強に対する自信が進路希望に大きな影響を与えている印象を持っているからです。
ユメカツ放課後寺子屋
大学生が、高校生に自分の勉強法を教えるという企画です。
それだけでなく、勉強に向かうモチベーションを上げるため”大学に行く意味”を考えてもらったり、大学生とのフリートークの時間をつくったりしました。
勉強方法は学校の先生からも教えてもらえますが、このときはそれぞれの学生がそれぞれに持っている勉強法を紹介しました。それによって生徒は「面白い」「これやってみたい」と感じたようです。
この企画はとても刺激になったようでした。