FORESIGHT.COM

Foresight Group Official Blog


大川樟風高校の生徒に問う。「勉強する意味って何?」

f:id:yumekatsu:20160720102921j:plain

6月17日(金)大川樟風高校で、普通科の生徒に向けて講演会をおこないました。

講師は、筑紫女学園大学 入試課係長の榊?淳英さんです。

大川樟風高校の担当の先生から「進路目標につながるような学ぶ意義についての講演してほしい」というお話を受けたとき、講師は榊?さんしかいないだろうと思いました。

榊?さんが話されたことをご紹介しますので、講演を聞いているような気持ちで読んでいただければと思います。

勉強する意味って何?

みんなは何のために勉強してるの?

今日の講演テーマになっているけど、先に答えを言います。

みんなは自分の幸せな未来のために勉強してるんです。
これはきれいごとでも何でもなくて、本当にそうなんですよ。

教育基本法の最初の目的にも書かれています。
一人一人が自分の人生を幸せに、豊かにするために学んでいるんです。
一人一人が幸せに豊かになることによって、日本が豊かに発展していきます。

日本のためにみんなが幸せになるわけではなくて、みんなが幸せになった結果、日本が豊かになるということです。

f:id:yumekatsu:20160720105445j:plain




国語とか算数とか、小学校に入ってから習うけど、「わたし国語習いたいですー!」って言って始めた人いる? はい国語をします、算数をします、というふうに最初から決まっていましたよね。

じゃあなぜ国語や算数を勉強するのか?

今、隣の人と言葉は使わずに自己紹介をしてみてください。
…できた人いますか?いませんよね。

私たちは言葉がないと自分の存在を証明することすらできないんですよ。

みなさんが日本という国で幸せに豊かに暮らすためには言葉という道具が必要なんです。
だから国語を勉強するんです。

また、数という概念を理解していないとものが数えられない。
そうすると日常生活困りますよね?
だから算数を勉強するんです。

私たちが生きるために必要なものを小学校のときから段階的に学んでいるというわけです。

要するに人間の本質を高める為のものです。 具体的に挙げると、考える力、考えたことを表現する力、考えをもとに行動する力、あと自己肯定感。これらの要素はとても重要。

みなさんは結局、こういうものを身につけるために勉強しているんです。
進学のためとかではなくて。

f:id:yumekatsu:20160720105553j:plain




“人が生きる”ということは“他人と関わる”ということです。
生きていくうえで、人との関わりっていうのは避けて通れません。

そうすると、自分の考えを人に伝えることができる、この能力は絶対的に必要になります。

だって君たち、何考えてるか全くわからない人のことを信頼する?仲良くなれる?

でも社会に出たら、同じ学校とか同じクラスとか、そのような前提が何もない人と付き合っていかないといけません。

だから考えを表現し「伝える力」がいるんですよ。

こういう力は自分一人で家にいたってなかなか身につかない。

自分が幸せに生きていくために、自ら選択し高校で今勉強しているんです。


“豊かだ”“幸せだ”と感じながらの市民生活には、社会性・個人性・経済性、この3つのバランスが必要だと言われています。

f:id:yumekatsu:20160720103100j:plain

社会性というのは、他人や社会(組織など)に必要とされるということに対する自己肯定感。

個人性というのは自分がこうなりたい、こうありたいという自分自身の目標や生き方を追求することに対しての自己肯定感。

そして経済性というのは、適切な経済観念。生きていくためにはどうしたってお金が必要ですからね。

この一つ一つをとって自分がどういう生き方をしていくのか、それを考えることが進路選択です。

まだ高校2年生だからお金の話なんて、と思うかもしれないけど、大事な話なんですよ。将来こんな生活をしたいという考えるとき、仕事の「やりがい」だけでなく、給料はどれぐらいでって視点でも考えることが大切。どの仕事はどれくらいのお給料がもらえる、ってネットでも調べられますからね。


生きる力って何?

みんなが将来生きていく社会ってどんな社会だろう、という話を少しします。

現在の小学生の65%が、将来、今は存在しない職業に就くといわれています。私の娘が小学生なのでもう気が気じゃないです。

10~20年の間になくなるだろうといわれている仕事の第2位は会計士です。 企業の帳簿などを管理する仕事は情報処理の高度化やAIでどうにでもなると言われているということです。

だから、顧客のリアルタイムな財務状況や経営を踏まえ、専門的な知識や経験をベースに適宜”アドバイス”をすることが会計士の仕事として残る。したがって管理だけでは会計士という仕事は食べていけないというふうになってしまいます。

この資格を持っていれば将来安泰、というものはないんです。またその仕事についた、で完結しないということを覚えておいてほしい。

みなさん、これが何かわかりますか?

f:id:yumekatsu:20160720103737j:plain

正解は「フィルム」です。

昔は写真といえばカメラにフィルムが必要でした。今、写真といえばデジタルカメラやスマートフォンですよね。一般的な写真にはフィルムは必要なくなりました。

たった10年20年で、カメラ一つをとっても変化が起きているんです。

昔、フィルムの世界シェアNO.1だったアメリカのコダックという会社は、2012年に倒産しました。

そんな状況でもフジフィルムは倒産しなかった。それはなぜか。
フィルムの研究をして培ってきたコラーゲンや抗酸化作用の技術を活かした化粧品の開発、カメラの研究を活かした医療用機器などの開発に主力商品をシフトしたからです。

だから君たちが考えなきゃいけないのは、今の時代は5年スパンだと言われているということ。5年たったら今とは求められるものが違うという状況になるということです。

例えばいま医療の勉強をしても、現場に入った時には使っている器具や手術の方法が変わっているかもしれないということです。

時代に合わせて変化する力、これが生きる力です。

”生きる力”って一言で言えるけど、いろんな側面があるんですね。
生きる力とはコミュニケーション能力だという人もいれば、危険回避能力だという人もいる。

結局、それは場面ごとに違うということです。

自分の目の前で起こっていることをしっかり見て、その都度合わせていける、変化していける。そのように適応する力が”生きる力”です。

みなさん、ジグソーパズルとレゴブロックの違いが何かわかりますか?

ジグソーパズルは誰が作っても出来上がりは同じ、レゴブロックは人によって出来上がりの形が違います。

これからはジグソーパズルではなくレゴ型の学び・考え方が必要になります。

ジグソー型では単に与えられたものを吸収できればそれでよかったんです。

これからは、さっき変化する力と言ったけど、”自ら学ぶ対象を探し、自ら学ぶ””納得できる正解を自ら創り出す、かつ更新し続ける”ということが、人生を豊かにするためには必要になってきます。 f:id:yumekatsu:20160720104535j:plain




これから自分の人生を創造するうえで、どんなことを学ばなければいけないのか、どんな力をつけないといけないのか。そこを考えないことには進路選択はできません。

どの選択肢もいいけど、自分にとっては何がいいのかというのは最大限悩んで、苦しんで決めないといけない。たくさん情報を集めてね。

未来のことはそのときにならないとわからないこともいっぱいあります。
確かに自分の将来は見込みでしかありません。でもその中で進路を決めるためにはいろんな情報が必要です。

進学先っていうのは、あくまで通過点なんです。
大事なのはその先でしょ?
その先どう生きていくかってことでしょ?

その先にたどり着くために自分自身にどんな「力」が必要か、その力をつけるためにどんな経験や知識や技能や考え方を身につけないといけないか、というのを逆算して進路先を選ぶんですよ。

正解は自分の中にしかありません。
「うちは就職率いいから」なんて、そんなものだけで判断してはいけません。就職率や就職先は、その卒業生の一人ひとりが頑張って成長したことでの個別評価に過ぎません。

大切なのは“自分が成長できる環境(教育の考え方など)や学び(多様性の創出)がある”ということ。



また、大学は道具に過ぎません。
ペンだって、自分が手を動かさない限り字は書けませんよね。

大学に行っても、自分がそれを作用させなければ4年経っても何も残りません。無駄に400万円払った、ということになります。 それならそのお金使って世界中を旅したほうがよっぽど豊かな人間性が身に付きます。

その道具を使って自分がどう変化するかを考えなければいけません。

勉強って、どこかに合格するためとかでは全く意味がない。
本来勉強っていうのは、自分の未来の準備なんです。
きちんと学ぶことによって、考える力や表現する力を身につける。

”表現する”と言っても、人にものを伝えるのって実はとても難しいです。

人を納得させるには、根拠や論理、背景が必要です。
そのために5教科の勉強をずっとやってきたんですよ。物事を汲取ったり理解したり考えるためのベースということです。

言葉というものは「伝える道具」でしかありません。
大事なのは何を伝えているか。どう伝えるか。中身が重要ということです。

「この人おもしろいな」とか「信用できるな」というのは内容でしか判断してもらえません。

日本語で伝えることが苦手な人は英語がしゃべれるようになっても高度にコミュニケーションはできないってことです。

“表現する力”を成長させるにはとても時間かかるし、様々なことを理解する視点や物事を捉えるベースが必要なんです。




高校時代に心がけてほしい習慣

一つ目は、目標を持ち学ぶ習慣です。

学生の特権って何か知ってる?
間違っていい、失敗してもいいということです。

社会人になったら失敗に大きな責任がついてきます。

行動しない限り失敗はしない。
だからたくさん行動して、失敗して学ぶという姿勢をもってほしい。

ヒット数の世界記録を残したイチローだって、全打席の7割近くは失敗。たくさん失敗をした中で次のヒントを拾い努力を積み重ねたものが結果になっているんです。

上手くいってもいかなくても、様々なことから学ぶ習慣はとても大切です。

目標のハードルは低くてもいいんです。たくさん超えた達成経験の一つ一つの積み重ねが自己肯定感を育てます。今日からできることを探してやってみてください。

二つ目は自分で自分の管理をする習慣です。

自分の未来を創造することの第一歩は自己管理からです。朝起きるとか簡単なことでいい。

特に大学に行くことを考えている人、大学は自分で答え決める自由を与えられます。自分で自分のことを決める管理することを今日から意識してください。

三つめは社会に関心を持つ習慣です。

自分の選択をするためには社会を知らないといけない。

雑誌にどんな服が載っているか、流行りを知ってから服を買う人いるでしょ?
それと同じですよ。

そう考えると、世の中の動きを知らないで進路を選ぶのってKYじゃない?

そして四つ目は想いや考えを言葉にする習慣です。
今日、表現する力がなぜ必要か、お話をしましたね。

このことを意識しながら、高校生活で「好きなこと」も「めんどくさいこと」もあると思うけど、自分自身で“楽しむ”アレンジを加えながら過ごしてほしい。

進路に“正解”はありません。だから自分の答えに辿り着くまで苦しいし不安なものです。自分といっぱい向き合い悩みながら進路選択してほしいと思います。 f:id:yumekatsu:20160720104800j:plain




生徒の感想

今日の話を聞いて、自分の将来は人に決めてもらうのではなく自分が決めることが大切だと思いました。

自分の意見を言うことは恥ずかしいことではない、失敗してもいいと言ってもらったとき、これからは恥ずかしがらず自ら意見を言いたいと思いました。

これからは学び方が変わっていくことを聞いて、自分でもちゃんと考えなければいけないと思いました。合格のための勉強だから先がなくなるという言葉に、思わずそうだなあと共感しました。

人は意思を伝えないと生きていけないから、自分の意思をしっかり持ち伝えられるようにならないといけないというところが一番印象に残りました。幸せな未来のために、自分のためになる勉強をたくさんしようと思いました。

今まで勉強はそこまで必要じゃないと思っていたけど、ちゃんと意味があってやっていたことがわかった。

自分の幸せのためにどんな道を歩み、どう努力しなければならないかなどを改めて考えさせられました。


この日に得た気付きが、生徒のみなさんの日常に少しでも変化を与えていることを願います。
榊?さん、ありがとうございました。